久々に観て発見したこと
BRの映画を改めて観て、発見したことがある。
作品は「シェルブールの雨傘」
1964年の第17回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した作品。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/シェルブールの雨傘
https://movies.yahoo.co.jp/movie/9588/
今ではミュージカルやその映画作品でよくあるが、
台詞📖が全て音楽🎵に乗っている作品。
初めて劇場で観たときは違和感があったが、
次第にストーリーや画面に引き込まれていき、
気にならなくなった✌️
ミッシェル・ルブランの物悲しい旋律は有名。
そして僕がこの作品で一番好きな場面がこちら。
ラストシーン。
元恋人同士だった2人がそれぞれ別の相手と結婚し、
何年後かに彼の経営するガソリンスタンドに、
彼女が給油で立ち寄る。
給油中に事務所で2人が会話するが、
最後に交わす言葉が字幕だとこうなると。
彼女「あなた、今、幸せ?」
彼「ああ、とても」
そして彼女は事務所を出て、車に乗って去る。
次の動画はストーリー全体をまとめたものだが、
その3分35秒くらいからラストシーンになる。
ちなみに、このシーンの背景は、
◇彼女はお金持ち(確か若い宝石商)の旦那と別れた
◇旦那の実家に預けられていた娘を引き取りに行った帰り
◇実の母は昨年亡くなった
◇シェルブールには結婚以来、初めて立ち寄った
◇回り道して、このガソリンスタンドに寄った
そして
◇車に乗っている娘は、別れた彼の子供
そのことを彼は知らない❗️
◇彼は事務所でも素っ気ない態度
彼女から話しかけることが多く、娘に会ってみる?と投げかけても、彼は断る
そんなラストシーンで交わす会話である。
く〜〜!泣ける‼️
ここまでは、以前観たときまでに理解していたこと。
ここからが、今回観て気づいたこと。
①実は「今、幸せ?」という台詞が別のシーンでもあった❗️
・ラストシーンの前、彼が別の女性と結婚を決めるとき、相手の女性も!彼に聞く。
「(私と結婚することになって)今、あなたは幸せなの?」
・僕は原語は分からないから字幕でしか判断出来ないけど、少なくとも字幕では同じ台詞だった。
意味深〜〜‼️
間違いなく、次のシーンでの同じ台詞を意識してると思う。
・ちなみに、同じ台詞を二人の女性から言われた彼の反応は、
彼女には素っ気なく「(君がいなくても)幸せだよ」と答え、
結婚した女性には「(君と結婚できて)幸せだよ」と答えている。
同じ言葉でも、中身が随分違う。
憎い脚本。
②視点は神か⁉️
・この作品、彼女と彼の悲恋物語だと思うのだが、最後の終わり方からは突き放した印象を受ける。
・若い二人が恋に落ちて、彼は徴兵に取られ、彼女は身籠もる。
一方、彼女の母の傘屋は行き詰まり、お金持ちの別の男性との結婚を娘に進め、娘も彼からの手紙が途絶え、相手の男性がお腹の子も含めて面倒を見てくれると言うので、母の強い勧めを断れずに結婚してしまう。
彼は徴兵から帰ってきたが、彼女は他の男性と結婚していた。失意の中で新た生活をしていた彼を、彼の叔母の面倒を見ていた女性が支えになって再起する。そしてその女性と彼は結婚し、ガソリンスタンドを始める。
・ラストシーンまでのストーリーをまとめると以上のようになるが、そこから何を作者は伝えたかったのか⁉️
彼女の立場にも、彼の立場にも、立っていない、二人に起きたことを淡々と描く終わり方は、まるで二人を天から見ている神の視点のよう。ある意味、冷酷。
・僕はラストシーンに、二人の運命に、さらにはこれからの彼女の人生に、想いを巡らせたが、神はただ二人の人生を時の流れに乗せていく。
この神の存在も意識すると、作品にもう一味加わる。観直して良かった❗️